今回紹介する書籍は「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」です。
多忙な現代人は常にストレスにさらされています。
一般的には「ストレス=悪者」と考えられていますが、実はそうではありません。。。
ストレスはあらゆるパフォーマンスを向上させるという研究結果が出ているそうです。
そんなストレスを力に変える方法をエビデンス付きで紹介されているのが本書になります。
下記悩みを抱えている方はぜひ読んで見てください。
- ストレスが溜まって辛い。
- 嫌なことから逃げようとしてしまう。
- 仕事のパフォーマンスを上げたい。
それでは行きましょう!
ストレスは本当に悪者なのか?
ストレス性胃腸炎や皮膚炎などストレスが原因で発生する病気があるせいで悪者にされがちです。
その反面「適度なストレスでやる気が出る」みたいな話も聞きます。
これはどういうことなのでしょうか??
本書では、アメリカで成人18万人を対象した8年間の追跡調査について紹介されています。
調査内容は、
- 「ストレスはが害になると思いますか?」という質問にYes/Noで答える
- 回答者の18年後の死亡率を算出 (統計的なやつは調整済み)
といったシンプルなものです。
結果は、
- Yesと答えた人達の43%が死亡。
- Noと答えた人達は実験に参加しなかった人たちよりも死亡率が低かった
「Yesグループ>非参加グループ>Noグループ」という不思議な結果でした。
ストレスに対してどう思っているのかによって死亡率が変化するという事が見えてきたのです。
ストレスを感じた時体内で何が起っているのか?
ストレスを感じると副腎から2つのホルモンが分泌されます。
- コルチゾール
糖代謝や脂質代謝を助け身体と脳がエネルギーを使いやす状態にする。
さらに、消化、生殖、成長などストレス時に重要ではない生物的機能を抑える。 - デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
神経ステロイドの1つで脳の成長を助ける男性ホルモン
ストレスの経験を通じて脳の成長を促進、コルチゾール作用の抑制、免疫機能を高める働きがある
2つのホルモンがいい感じのバランスで分泌され、ストレスに対処する準備を整えてくれるのです。
ホルモンの働きは身体に悪いものではないのです。
慢性ストレスによるホルモンバランスの崩れ
ただ実際ストレスによる健康への悪影響は出ています。
それは何故なのでしょうか??
ストレスホルモンは短期的には身体に良い影響を与えますが、慢性的にストレスを感じているとコルチゾールの割合が増えホルモンバランスが崩れてしまいます。
コルチゾールの割合が高くなると以下の様な症状が出てきます。
- 免疫機能の低下(自律神経バランスの乱れ)
- うつ病の症状(脳内の炎症)
- 循環器系の疾病(血管が収縮する)
要は、消化/生殖/成長の機能が抑制されっぱなしの状態が続くんであらゆる症状を発症させちゃうんですね。
うーむ怖い。。
ストレスをチカラに変えるために
コルチゾールの割合が慢性的に高くなると体調に悪影響が出てくるというお話をしてきました。
もう一つのホルモンであるDHEAの割合が高くなるとどういった事が起こるのでしょうか??
DHEAの割合が高くなると
- コルチゾールによる悪影響リスクが低下
- ストレスによる回復(レジリエンス)が高くなる
コルチゾールの短所を打ち消してくれるような効果があるんですね!
このストレスホルモンの割合を自身でコントロールできればストレスをうまく利用できそうです。
マインドセットを変えるだけでホルモンバランスが整う
ではどのようにしてDHEAの割合を高くすればよいのでしょうか??
「社会的ストレス実験」がその回答となりそうです。
まずは、下記のようなグループわけを行います。
- Aグループ:ストレスは力になる科学的な根拠を伝える
- Bグループ:ストレスは害にしかならないと伝える
- Cグループ:マインドセット介入なし
その上で下記実験を実施いたしました。
- 5分間の即興スピーチを審査員の前で行う
- 審査員は落ち込ませるような態度でスピーチを聞きます
→審査員は演者で、ため息や圧力をかけるといったストレスを与える - その後の暗算のテストを行う。
→間違えたら最初からやり直し。終えたとしても遅いという理由で最初からやり直しといった地獄のテスト。 - 被験者の唾液からストレスホルモンを計測。
結果は
- マインドセット介入を行った被験者はDHEAの割合が高くなった。
- スピーチのパフォーマンスも上昇しました。
- 暗算のスコアも高くなった。
この実験結果から、ストレスとの向き合い方(マインドセット)でDHEAの割合が高くなる事がわかりました。
向き合い方次第って事なんで、気軽な感じでいいですね!
3つのストレス反応
どうしてマインドセット介入だけで身体的影響が変わるのでしょうか??
実は人間は3つのストレス反応が存在していて状況に応じて使い分けております。
逃走 / 闘争反応(=驚異反応)
危険や不安な状況に遭遇した際に起こる反応。
心拍数を上昇させ筋肉を瞬時に動かせる準備をする。
また、アドレナリンを分泌し気分を高揚させる。
火事場の馬鹿力が出る状態です。
チャレンジ反応
危険や不安を感じていない状況でストレスを感じた時に起こる反応。
身体的な反応は闘争・逃走反応と同様です。
DHEAの割合が高くなり集中し恐怖を感じなくなる。
ゾーンに入っている状態ですね。
思いやり/絆反応
人間関係や家族に関わるストレスを感じた時に起こる反応。
オキシトシンというストレスホルモンが分泌されます。
人とのつながりを求める仲間や家族を守る気持ちが出てくる。
また、恐怖を鈍らせ勇気が出ます。
ストレスを感じた時に必要なストレス反応を起こすことができれば、パフォーマンスが上がるよってことなんですね!
驚異反応をチャレンジ反応に変える。
現代社会では命の危険を感じることはありません。
にもかかわらず、逃走 / 闘争反応が起きてしまうためうまくパフォーマンスが出ていなかったのです。
パフォーマンスを上げるためには、逃走 / 闘争反応をチャレンジ反応へ変えてあげればよいのです。
やり方は簡単です。
- 不安を受け入れる
- 自分は興奮していると口に出してみる
- ストレスが力を与えてくれると信じる
といった行動を取るだけなのでぜひ試してみてください。
まとめ
今回は「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」を紹介させていただきました。
本書は心理学者が研究論文の考察を元に執筆されている書籍なので信頼性の高い内容となっております。
僕自身も試していて効果を感じています!
ぜひ、ストレスに悩んでいる方は読んで試してほしいと思います。
ストレスに立ち向かうことは決して簡単ではありません。
しかし、逃げるよりも結果は良くなることは確実なので勇気を出してストレスを力に変えていきましょう。
それではまた!