今回解説させていただく書籍は「人に頼む技術: コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学」です。
コロンビア大学で、モチベーションと目標達成について研究されているハイディ・グラントさんという方で執筆した書籍で、他にも「やり抜く人の9つの習慣」や「やる気が上がる8つのスイッチ」などベストセラーを執筆されています。
モチベーションコントロールの第一人者である著者が、相手のモチベーションをうまくコントロールしてうまく頼み事を聞いてもらう方法をまとめている本書。
下記のような悩みを抱えている人は是非読んでいただきたいと思います。
- 頼み事をするときめっちゃ気まずい
- 頼み事をするときに嫌な顔をされる
- 成功率の高い頼み方を知りたい
それでは、行きましょう!
頼み事をするときの心理状態
まずは、頼み事をする側とされる側がどんな心理状態なのか?簡単に説明します。
ほんの小さな頼み事でも、なぜか不快な気持ちになります。
なぜ、あんな気持ちになるんでしょうか??
自分の事、相手のことを理解していると、頼み事へのハードルが低くなるので知っておきましょう
自分が抱える心理的状態
面倒を押し付けられるのって嫌ですよね。。。
頼む側は頼まれる相手を共感するところから始まります。
その共感は、拒否される恐怖や不安などのネガティブな感情を生んでしまう為、回避したいという心理が働きます。
それが、気まずい気持ちです。
しかも、その拒否や不安によって感じる心の痛みは実際に体の痛みを感じるのと同じ脳の部位を使用して感じます。だから断られることが怖いんですねー。
人間が生存のために他者との繋がりが必要であるため、このような脳の作りになっているのです。
この気持ちからは逃れることはできません。
相手側の抱える心理状態
では、相手側はどんな心理状態なのでしょうか??
人間は他者との繋がりを重視するため「常に良い人間でありたいと思っている」のです。
さらに、無意識に「人を助けることでいい気分になれる」事を知っています。
殆どの人達は「他者を助けたい」という気持ちを強く持っています。
その反面、他者からコントロールされる事を非常に嫌うので無理強いをされると不快な気持ちになるという矛盾した心理状態になっているのです。
要は、自主的に人を助けたいと思っているけど無理強いされるのは本当に嫌だ!ってことですね。
自分の状況や相手の頼み方によって心理状況が変わるため、相手側は微妙な心理状態になります。
頼み方を間違えて失敗するのはそれが原因なんですね。。。
頼む側が誤解している事実
さて、自分と相手の心理面を見てみると、自分は頼みづらいと思い、相手は助けたいと思っているすれ違いの状態になっていますね。
そのため、頼む側はその誤解を知ることで頼み事へのハードルを下げることができます。
どんな誤解があるのか詳しく説明していきます。
断られるかもしれないという誤解
実は、頼む側は相手が頼み事を受け入れる可能性を大幅に少なく見積もっています。
この見積もりはネガティブな共感が考慮されているので、相手の心理状態を考えるとその見積もりは正しくないことがほとんどです。
人は小さなコミュニティの中で助け合いながら進化をしてきた為、断るという行為は社会的ルールを破る行為にり罪悪感を感じます。
この事から頼まれる側はプレッシャーを感じるため断りにくいのです。
しかも、1度断るとその心理状態が大きくなり2度断る際には罪悪感やプレッシャーは更に大きくなります。
何回もお願いするほど成功率が上がっていくってことなんですね。
嫌われるかもしれないという誤解
頼まれた側は頼んだ側に好意を抱くことが研究で明らかになっています。
それは認知的不協和というものが起きるからだそうです。
認知的不協和とは、自身の考えと行動が一致していないときにおこります。
この状態になると、「認知」または「行動」を歪めて自分を納得させ一貫した状態を保とうとするのです。
今回の場合は以下のような感じですね
・好きな人は助けたい!でも嫌いな人は助けたくない。(認知)
・頼み事を聞き入れている(行動)
→頼み事を聞き入れているという事は、この人に対して好意を持っているのだろう(認知を歪める)
実は、頼み事の内容が困難なものであればあるほど好意を持つようになるってことです。
頼み事をすると、嫌われるということ自体が気のせいってことですね。
こんなやり方はNG
とはいえ、「人はコントロールされることを嫌う」という心理がある為、単純に頼むだけではうまく行きません。。。。
相手にコントロールされていると感じさせてしまう頼み方はいくつかのパターンがあるようです。
本書では沢山紹介されておりましたが、今回は特に気になった部分だけ紹介します。
やたらと謝る頼み方
そもそも、頼まれる側は感謝されたいから助けようと思っています。
それなのに、謝られ続けると助ける喜びが小さくなってしまいます。
また、嫌なことを押し付けられていると無意識に感じてしまうためコントロールされた気持ちになります。それにより自発的に助けるという喜びがなくなってしまうのです。
「本当に申し訳ないんだけど、〇〇〇お願いしてもいいかな?ごめんね。」
みたいな頼み方は良くないってことですね。。。
このあたりはよくやっちゃうやつですねえ、気をつけましょう。
些細な頼み事であることを強調する頼み方
頼まれる側は助けることで自己効力感(いい気分になる)を感じるのですが、誰でもできるような些細なことだと自己効力感を感じることができません。
無意識にそれがわかっているため誰でもできることなら他の人に頼んでほしいと思ってしまうのです。
また、些細な頼み事としてお願いをしたにも関わらず相手にとっては全く些細な事ではなかった場合、下に見られているという感覚を植え付けてしまうことになります。
「誰でも出来ることなんだけど、〇〇〇お願いしてもいいかな?」
なんか上から目線な感じがして不快な気持ちになりますねぇ。。。
借りがあることを意識させる頼み方
これはうなずけるやつですね。。。
「君は僕に借りがあるんだからこれくらいやっておいてよね」
この頼まれ方はイラッとしますし、無理強いされているので非常に不快な気持ちになってしまいます。
助けを得るための4つのポイント
ではどのように頼めば、気持ちよく聞き入れてもらえるのでしょうか??
基本的に人は「人を助けたいと思っている」ので、そう思ってもらえるような頼み方をする必要があります。
本書では、その点もしっかり紹介されています。
ポイント1:気づいてもらう
人は周りの全ての状況に注意を向けているわけでありません。
アハ体験をイメージして頂くと分かりやすいのですが、画像内の一部が大きく変化していても変化対象を意識して見ていないと変化に気付くことができません。
このように、知覚的負荷が高いときに不注意による見落としが起きやすくなることが研究でわかっております。
相手が自分に注意を向けていない限り、自分が困っている状況に気付いてくれることはありません。
困っていることをしっかり伝えましょう。
ポイント2:明確に伝える
当たり前ですが、人は他人の心を読むことができません。
困っている状況に気付いたとしても、下記の様な判断を行い結果的に誰も手助けをしないという判断を行います。
- 曖昧な状況下では多人数の行動をみて状況を判断する(誤解を回避する)
- 求められていないのに助けることで気分を害するかもしれないという解釈
- 助けがほしいのであればそれを伝えるだろうという思い込み
結構当たり前のことなんですが、日本は察する文化があるので意外とできていない人が多いのかもしれません。
頼み事のハードルが高くなればなるほど上記の様な状況になりがちなので、明確に助けを求めることは大切です。
ポイント3:個人に向けて伝える
助けを求めていたとしても助けられる状況の人が複数人いる場合、傍観者効果が働き行動を起こさなくなります。
「誰か手伝ってくれませんか?」といっても誰も手伝ってくれなかったりするアレですね。。
助けるという行為そのものに責任が発生します。
個人に向けて伝えないと、誰がその責任を負うべきかわからないため周りの人達は混乱状態になってしまうのです。
相手を混乱をさせないように、個人に向けてしっかり伝えましょう。
ポイント4:相手の状況を把握する
相手にはすべきことの優先度が存在しています。
現代人は非常に忙しい毎日を過ごしているので、脳はリソースを喰わないように一定の思考プロセスをスキップします。
そのため、時間の捻出が可能か検討せずに「NO」という答えを出すようにしてまうのです。
助けてもらうためには、相手の状況も非常に重要であるため頼み事をするタイミングはちゃんと見極めましょう。
具体的な頼み方
それを踏まえた上でどのように頼めばよいのでしょうか??
相手に自主的に助けてもらう為の頼み方として、本書では人を動かす3つのチカラを紹介しています。
これを利用しどんどん助けてもらいましょう。
仲間意識をもつ
人は同じコミュニティに属している人は重要人物と評価します。
それは、自身の幸福自体がコミュニティの影響を強く受けているからです。
仲間意識を手軽に作り出す言葉が「一緒に」という言葉です。
心理的に一緒にという事を感じることで、集団意識の動機づけ効果が得られるということが研究によってわかっています。
お願い事をするときは「一緒に」という言葉を、僕と一緒にバンバン使っていきましょう!!
また、言葉以外にも
- 共通の目標
- 共通の敵
- 共通の経験
なども仲間意識を作り出すことができます。
状況に応じて言葉を使い分けましょう。
自尊心を刺激する
人は他人を助けることで、自己効力感が高まります。
相手が気持ちよく助けられるかどうかのポイントになります。
「自分は親切な人間なんだな」と感じられる頼み方をしましょう。
具体的には「親切な人になりませんか?」のような頼み方です。(いい例が思い浮かばなかったです。。。わかりますかね。。。)
また、感謝の言葉の内容も重要です。
感謝の言葉は下記2パターンあります。
- 状態が改善された事による感謝
- 相手の好意についての感謝
よく言ってしまいがちなのが、「助かったよ、ありがとう!」これは自己的な内容になってしまうためあまり良くありません。
「助けてくれてありがとう!」と伝えることで、相手の自尊心も刺激することが出来るため、関係値も良くなります。
感謝の仕方にも気を配りましょう。
有効性を感じてもらう
相手は自分の手助けがどれだけ影響を与えたのかに対して知りたいと感じています。
その影響力が大きければ大きいほど自己効力感も上がるのでしっかりと伝えてあげましょう
その助けによって、何がどれくらい助かるか事前に伝えることで自主的に行動を起こしやすくなります。しかも、苦痛が伴う行為であっても辛抱強く続けてもらうことが出来るので有効性を感じてもうことは重要です。
また、助けてもらう過程で相手からの提案が上がってくることもあります。
これは有効性を感じる助けになるため、提案はできる限り受け入れるようにしましょう。
ここで、提案自体を拒否、否定してしまうと相手の自主性がなくなってしまう可能性があるため注意してください。
最後に
「人に頼む技術: コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学」を紹介させていただきました。
僕自身、NGパターンで頼んでいたり、曖昧な頼み方だったりすることに気が付きました。。。
状況や内容によって、頼み方は変化するので固定された成功パターンありません。
ここで紹介されているものを意識しながら人に頼むことができれば、自分も助けられるし相手ともいい関係が築けるので試していきたいと思っています!
科学的に深堀りしているので内容の信頼度も高く、読むと新しい発見があると思います。
興味がある方は是非読んでいいただければと思います!
それでは!